『 彼女・彼氏 ( あのひと・あのひと )  ― (2) ― 』

 

 

 

 

 

 

 

§ 彼氏 ( 承前 )    フランソワーズ・アルヌール嬢 ・ 談

 

 

 

・・・ そうねえ ・・・ あの後、いろいろな事があったわ。

ええ あの悪魔の島を脱出した後のことよ。

 

「 博士 これからどこへ 

「 うむ とりあえず日本へ。 」

「 へ・・?? 」

ミーテイングの最中、 隅っこから妙な声が聞こえたわ。

 

 「 あ ・・・ あ ・・・ す すいません ・・・ なんでもないっス 」

 

全員の視線を集めてしまった・あのコ は 首を竦めて引っ込んだの。

・・・ カメじゃないんだから。

そりゃ あなたの国ですものね、 びっくりするのは当然よ。

 あ ぼくの出身国です、案内はお任せください ・・・ くらい 言えるでしょうに。

コドモじゃないんだから。

< なんでもない > ことないでしょう??  もう〜〜〜★

 

「 あ?  ・・・ ではそちらに進路をとります。 008? 」

「 了解。  えっと・・・ トウキョウ方面ですか 」

「 うむ。 少し外れるが首都を目指しておくれ 」

「 了解。 セットします。  002〜〜 」

「 オッケ―  へ へへへ〜〜〜 アキバ とか行こうぜぇ〜 

「 ほう サブカルチャーに興味があるのか 」

「 わっかんね〜けど。  く〜る・じゃぱん って有名なんだぜ

 ちょこっと覗いてみて〜な〜〜 

「 ふうん ・・・ アキバって たしか電気店とかもあるんだよね?

 僕もいろいろ興味のある部品とか 見たいな。 」

「 おうよ〜 そんじゃ 008 一緒に行こうぜ 

「 いいね。 あ・・・ 君の祖国だろう 009? 」

 

  ざ。  全員が隅っこにいる彼を見たわ。

 

「 ・・・・ 」

彼ってば −  きょとん、としているの。 

 え ・・・ 皆の会話 聞いてなかったの?

「 009?  008の発言、聞いてたでしょ? 」

「 え ・・・ 008? ・・・って ああ このヒトだね? 」

「 ちょっと。 このヒト、って 仲間でしょう? 」

「 ご ごめん ・・・ 

「 あ〜 別に頓着しないよ、僕は。今から覚えてくれれば。

 それで アキバのことなんだけど、案内してもいいかな 

「 ・・・・ 」

「 009? 」

相変わらず 曖昧な笑顔で黙っている彼の脇腹をつんつん、突いたんだけど。

「 あ  な なに? 」

「 だから、 008の要請についての意見をどうぞ。 」

「 ・・・ あ  あの  ・・・? 」

「 009、 ニッポンについたら アキバ に案内してくれるかい 」

「 ・・・ あ は あ ・・・ あのそのう〜〜〜

 ぼくもアキバっていったこと、なくて。 あ でも JRに乗ればすぐに

 行けると思うけど  

「 その行き方じゃなくて。 アキバの町の中を案内してほしいって  

 あ・・・ いったこと、ないの? 」

「 ウン。 お金もないし いろいろ・・・ 忙しかったんで 」

「 まあ そうなの。 残念だわ 」

「 あ そっか〜〜  それならグーグルで検索してみるね。

 009、君も一緒にきたまえ。 」

「 ・・・ 

ま〜〜た 曖昧に笑って黙っているのよ。

せっかく皆で会話が弾んでいたのに ・・・ 仲間たちは上手く話題を

変えていったわ。 

もしかして、 009はアキバになにかトラウマがあるのか と気を回したのよ。

 

  だけど ね。  これはその後にわかったんだけど。

 

「 自動翻訳機 使えるでしょう?  皆の会話に加わったら? 」

 わたし、ちょっと語気を強めてしまったわ。 あ お茶の後で ね。

 皆 てんでにキャビンに戻ったりして 飛行艇は自動操縦になっていたから

わたし達以外は 誰も聞いてはいなかったと思うけど。

「 え? あ  う  うん ・・・ 使ってる 

「 だったらちゃんと返事したりしたらいいのに ・・・ 」

「 あ ごめ・・・あの でも みんなの日本語 超ムズいんで ・・・ 」

「 え?  アナタ ニホンジンでしょう?? 」

「 そうなんだけど ・・・ 自動翻訳機のコトバ ムズいんだ 

 そんで  電子辞典で調べてたんだ。 音声で検索おっけ〜〜 っていうから 

「 ・・・ 日本語がムズカシイから すぐに理解できなかった の? 」

「 あ〜〜〜 ところどころだけど。

 みんなさ〜〜 ムズい日本語 使うんだね 」

「 ・・・ そうなの ・・・ ふうん ・・・ 」

「 あ でもね〜 自動翻訳機と電子辞書、シンクロさせてるから〜〜

 もうヤバくないよ 〜〜 」

「 それなら いいけど。 じゃ ミーテイングでは積極的に発言してね 」

「 あ ・・・ う〜〜ん ・・・ 」

「 なにか 問題でも? 」

「 いや ・・・ う〜ん ぼく どっちかっつ〜〜と フォロワー がいいな〜って 」

「 ふぉ ふぉろわ〜??? 」

「 そ。 あ いいね、とおもったらRTするからさ 

「 RT?? だって一緒に話合っているのよ? 」

「 そうなんだけど さ   あ ちゃんと聞いてるぜ 

「 それは当然です。 アナタはわたし達 ゼロゼロナンバーサイボーグの

 一員なのよ 」

「 ・・ ハイ。 」

 

       もう 〜〜〜〜  !

 

「 ほっほ〜〜〜  手ぇ 空いてるヒト〜いてはりまっか〜〜 」

厨房から陽気な声が聞こえてきたわ。  006ね。

「 あ は〜〜い  なに〜〜〜 」

「 ジャガイモの皮むき、 手つどうてくれまっか〜〜  」

「 あ やるやる〜〜〜  じゃ ね 

彼 なんか急に活き活きして小走りに厨房に行ってしまった。

 

    ・・・ なんか まだよくわからないコね ・・?

 

だんだんわかったんだけど  ― 彼の日本語は 所謂スラングだらけだったの。

どうりで自動翻訳機がする〜するわけよね? 

そりゃ 002もひどいスラングばかりで話すけど あのひどいアメリカ英語 には

自動翻訳機に搭載されているモジュールは対応してたみたい・・・

ああ きっと日本語版は最新バージョンじゃなかったのかもしれないわ。

 

彼も自動翻訳機の使い方を覚えたし わたしも彼の使う変わった日本語にも

次第に慣れていったわ。

彼は習慣的に、というか それまでと同じ風に話していただけみたい。

わざわざ 解り難いスラングを使っていたわけじゃあ ないのね。

 

    そんなに頓狂なコじゃないみたい ね・・・

    ふうん 案外素直でいいトコ ある かも・・・

 

ニッポンに着いてからは 博士のご友人の御宅に居候 ― とてもしっかりした

建物だったので ほっと安心できたのね。

彼のことも 少しづつだけど ・・・ 理解できるようになっていったわ。

 

「 あの〜〜〜  ふらんそわずさん? 」

「 はい? 」

 

朝ごはんの後、 ぼくがやる! って彼はいつも洗いモノをやってくれてた。

「 え 昨日もやってくれたでしょう? 今日はわたしがやります。 」

「 あ〜 そうだっけ?  いいよ 今日もやる〜〜 ぼく、洗いモノ得意なんだ 」

「 そうなの?  ああ お家でよくお手伝いしたのね 

「 あは < お家 > とはちょっち違うけど〜〜〜食器洗いは当番制だったんでね

 トレイにのっけてくれる? 」

「 ああ はいはい ・・ 」

 

   よ・・・っと〜  彼は皆の食器を軽々キッチンに運ぶのね。

 

「 わたしも手伝うわ 」

「 あ それなら 拭き拭き部隊 いいっスか〜 

「 拭き拭き部隊?  ええ 了解よ 」

「 ヨロシクっス 」

「 はい 」

キッチンで一緒にいると  ―  なんとなく妙な安心感があるのよ。

 

    あ  あれ ・・・?  この感覚 ・・・ どこかで ・・・

      

             あ。

 

気が付いたわ。 彼 ―  わたしの兄に似ているの。 なんとなく。

顔つき とか 背格好じゃなくて そのう・・・雰囲気っていうの?

 ほんの少しなんだけど。  それが安心感になるのかもしれないわ。

 

「 これ洗ったら 買いだし、行くよ!  欲しいモノ、あったら言って〜

 あ 日常品とかでさ〜〜 必要なモノ、みてくれるかな〜 」

「 了解。 そうそう バス・ルームの石鹸と あと・・・・

 洗濯用の洗剤も切れそうよ 

「 わ〜った  あ メモ、書いてくれる?  忘れそう〜 

「 はいはい トイレットペーパー とかも いい? 」

「 も〜ちろん  あ あと ・・・赤ん坊さんのミルク いるだろ? 

「 イワン。 」

「 へ? 

「 赤ん坊の 001 は イワン よ 」

「 あ そか そか〜〜  ごめん〜〜 ナンバーと名前とさ

 ごちゃごちゃになっちゃって ・・・  

「 あら。  じゃ わたしは? 」

「 あは きみは 003のふらんそわーず・あるぬーるさん(^^♪ 」

「 わかってるじゃない?  」

「 ・・・ きみはトクベツだも〜〜ん  」

「 え ? 

「 な〜んでもな〜〜い〜〜っと。 さあ 買い出しに行ってくる〜〜 」

「 ・・・ あ ・・・ 」

「 ? なに? 」

「 あ あの。 わたしも 一緒に行って いい? 」

「 え〜〜〜 荷物持ち しなくちゃなんないよう? 」

「 いいの。 あの ね ちょっとほしいモノとかあるし。 」

「 メモしてくれれば買ってくるよ?  

「 ウン ・・・ あの ね。 そのう・・・ 下着とか見の回りのものが 」

「 ごめ!  ボケだよね〜 俺って。 一緒しよ〜ぜ 

「 ・・・ ありがと ・・・ 」

「 そんじゃ準備してきなよ〜 ここ ぼくがやっとくからさ。 」

彼は水切り籠の中の食器類を指したわ。

「 え でも ・・・ 」

「 女子は〜〜 時間 かかるだろ?   ぼくはキャップってパーカー 

ひっかけるだけだもん 」

「 ・・・ ありがとう! 

なんかね〜〜 ・・・ 優しいの。 っていうか 妙に気が回るのね、彼って。

施設で育った・・・って言ってたけど、そのせい??

でも なんだかとても嬉しかったの。

仕事上の < 同僚 > から もっとこう・・・親密な < 仲間 > に

なれたのかな 〜〜 ってね。

 

    このコ ・・・ 案外 ・・・?

 

困った新人クン は だんだん 戦力になる仲間 になっていったの。

ええ ・・・ 頼もしい仲間 になるにはまだまだ時間が掛かったけど 

( くすくす・・・ )

 

そうそう こんな事もあったわ。

 

 ― あれは 0010の兄弟が襲ってきた時だった・・・

 

自ら 0010 って名乗って ああ BGの追手なんだってすぐにわかった。

でも わたし ― どうしても殲滅させるのみ って気分になれなかったのね。

 

  それで ― 闘いの最中に飛び出しちゃったの。 

 

「 あなた達は  わたし達の兄弟じゃない?  」

「 ! 」

  ニヤリ ・・・ 0010 は 口の端をねじ上げて嗤った ・・・

 

        あっ!    ド――――― ン ッ!!

 

次の瞬間 0010の稲妻がわたしめがけて飛んできたわ。

 ― でも わたしは   奇跡的に助かったの。

あの 直撃を免れたのは あのコ  いえ 009のおかげ。

 彼は 0010が撃つ一瞬前に 加速装置を オンにして わたしを 抱え

脱出してくれたわけなの。

 

「 003! 大丈夫?? 」

「 ・・・ え  ええ ・・・・ 009 アナタが? 」

「 ギリで間に合った〜〜 なあ あ〜いう狂犬は やべ〜んだ  」

「 ・・・ き  狂犬 …?  

「 そ。    みてればわかるさ。   へへ ケンカは任せとけって 

「 ケンカ ・・・  つよいの? 

「 あは トンズラ専門さ〜〜 でもお蔭でやべ〜ことには巻き込まれんかった 」

「 あ  あの   とんずら ってなあに  」

あ〜 あの〜  逃げること!   はは 自動翻訳機 パスかあ  

 へ〜〜〜 案外 ポンコツだな〜〜  

「 逃げること・・・ まあ  そうなの   ありがとう!  」

「 ん!  ・・・ また来るよ、アイツら。 気をつけな 

「 え ええ ・・・ 」

「 データ 頼むね。 じゃ ぼく ゆくから 」

「 あ ・・・! 」

  に・・・っと笑って あのコ、いえ 009は飛び出していった・・・

 

そして   ―   勝ったの。 ええ 0010達は自滅していったわ。

009だって ボロボロになっちゃったけど ・・・

 

「 ・・・・・ 」

「 やったね 009 」

「 ふふん これで一人前の戦士だな 」

「 ・・・ かわいそうな ヤツら 」

「 え なに ? 」

「 ・・・ なんでも ないよ〜〜 あ〜〜〜 腹へったぁ〜〜 」

「 よっしゃあ〜〜 晩御飯 腕揮うデ〜〜 」

 

仲間達は ドン っと彼の肩やら背中を叩いて笑ってた。

でも ね。 彼は 目を伏せてたけど ― 笑ってなかったの。

 

    可哀想なヤツら ・・・ 兄弟なのに触れ合うこともできなかったなんて

 

彼の呟きを聞いたのは  わたしだけだったかもしれないわ。

 

  ああ このヒトは。 こんなにも瑞々しいココロを持っている ・・・ ! 

    彼は   若い。  とても とても ・・・

 

急に ず・・・ん と歳月が圧し掛かってきて 自分自身の言葉が

襲い掛かってきたの。

 

       とんだおばあちゃんで ごめんなさいね

 

  わたしは ― おばあちゃん。  彼は 若い わかい 青年 ・・・ 

 

 

 

 

 

§ カノジョ ( あのひと )    島村ジョー君 ・ 談

 

 

ま〜ね〜〜 いろんなコト あったな〜〜〜

せっかく日本に帰ってきたんだけどぉ 〜 なんかやたらとドンパチあってさ。

 

 「 ま マジ?  あの 対話で和平を ってナシ? 」

ミーテイングの時 こそ・・・っと言ったんだけど。

「 ! 何 甘っちょろいこと言ってる! やらなければやられるだけだ 」

「 あのな ボーイ?  我々は生きるために闘うのだ。 

 これは ― ゲームじゃないんだ。 」

「 ・・・ す すいません 」

なんかさ 大炎上なんだよ〜〜  平和のための対話 とか 暴力は最低 とか

さんざん神父様や生活指導の先公に言われてたんだけど さ。

おっさんら 激マジでさあ ・・・ やっべ〜〜〜こと言ったな〜〜って。

 

     でも ホントだったんだ。 

 

マジで やるかやられるか だったぜ、 ゲームじゃねんだ、

やられたら < 終了 >、  ゲームが、じゃなくて 生命が さ。

 

おっさんら や あのカワイイ子ちゃんに教わってだんだん銃とかも

命中するようになったけど 

 

      ・・・・・  ・・・・

 

「 え ? 」

あのカワイイ子ちゃん、 ふらんそわ〜ずちゃんがさ もんのすごく悲しいってか

淋しそ〜〜〜な顔 して 俺のこと、見てるんだ。

「 なに? ごめん 俺、ナンか ヤバいこと 言った? 

「 ううん ・・・ なんでも ないわ 」

カノジョ また と〜〜〜っても淋しそ〜〜な笑顔で さ。

ねえ そんな顔 しないでくれよ〜〜〜  きみの笑顔、俺の生きるぱわ〜なんだ

からさ〜〜〜

「 ・・・・・ 」

「 え なに?  」

 

      とんだおばあちゃんでごめんなさいね 

 

「 ! この前 聞いたよっ   そんなの、かんけ〜ね〜だろっ 」

「 ・・・・ 」

カノジョ びっくりしたみたいな顔してたっけ・・・

 

   俺 決めたから。  このコの あの笑顔 護るのは俺って。

   俺・・・いや  ぼく。  なんでもする! 

 

それからよくカノジョと一緒に行動するようになったよ。

カノジョも 別に嫌がったりはしなかったもん、 も〜〜さ〜〜〜

ヨコハマとか案内しちゃったぜ(^^

だって あ〜〜んなカワイイ子と歩けるんだぜ?

へっへっへ〜〜〜  すれ違うヤツらの顔ったら〜〜〜 へっへっへ〜〜

 

「 よ〜〜 お帰りか〜 」

二人一緒に帰ってくると 002がよくからかうんだ。

「 ただいま 002。  ええ 009がお買い物に付き合ってくれたの。 

「 へえ〜〜〜 

ピュウ〜〜っと口笛吹いてさ。

「 へっ へへ・・・ おめ〜 マザコンでね〜の〜〜 」

「 ・・・ 」

俺 なんもいわんかった。

 

    マザコン?  ああ そうだよ、 いいじゃん別に。

    俺 カノジョだったら か〜さん にも こいびと にもしたいもん。

 

お母さん ったって顔も覚えてないケド。

でも いいじゃんか  カノジョが俺のか〜さんでコイビトで  さ。

 

   あ  ・・・  カノジョ、 イヤかなあ ・・・

 

「 あ あの  ゼロゼロ・・・ いえ  ジョー? 」

あるとき、 カノジョがさ ちょっち赤くなって言ったんだ。

 

    な  名前 〜〜〜   ぼくの名前  呼んでくれたっ

 

「 あ な なに? ふらんそわず さん 

「 うふ フランソワーズ でいいわ。 

 あのね。 日本の事とか トウキョウのこととか いろいろ話してくれる? 」

「 あ うん! ってもな〜〜 ぼく ハマのが詳しいかも 」

「 ハマ?? 」

「 ん〜〜 ヨコハマのこと。 

「 あ ヨコハマのことも知りたいの。 ・・・ ジョーのことも ・・・ 」

「 え? 」

「 あの ね いろいろ ・・・ おしゃべり しない? 」

「 やた〜〜〜〜〜〜 

 

  俺 ううん ぼく。  も〜〜〜 舞い上がり♪ 

 

 ・・・ うん いろ〜〜んなこと ― しゃべくってさ。

勿論、 ハマも案内したさ。

「 ・・・ 港街なのね 」

「 ウン。 あ 故郷に似てる? 」

「 あらァ うふふ・・・ パリはねえ 内陸の都市なの。 海はないわ。

 そのかわり川が セーヌがあるの 

「 川?  ふうん ・・・ いいトコなんだね 」

「 そりゃ ・・・ 生まれ育った街ですもの 」

「 ・・・ 帰りたい ・・・? 」

「 ・・・ わかならないの まだ ・・・ 」

「 ごめん、ヘンなこと、聞いちゃって 」

「 謝らないで。 聞いてくれたの、ジョーが初めて よ 

「 あ そ そう ・・・? 」

「 ジョーは?  帰りたい? 育った街に 」

「 ん〜〜  誰も待ってないし。 いい思い出もないし。

 ぼく ・・・ ココが みんなと暮らすウチが一番いいや 」

「 ・・・ ごめんなさい 嫌なこと、聞いた? 」

「 あ〜〜 そんなコトないって。 ぼくのこと、聞いてくれてありがと

 マジで聞いてくれたの、初めてなんだ。 」

「 ジョー ・・・    あ 見て〜〜 大きな船 ! 

「 わあ〜〜 凄いな〜〜  豪華客船だあ  」

「 あんな船でのんびり旅行してみたいわ 

「 あ は ・・・ ぼく どうしていいかわかんないかも〜〜 」

「 うふふふ ・・・ きっとわたしもよ 

「 そ  そう?  あ〜〜 アイス 売ってるよ、食べよう 」

「 あ い す く り ん ?   変わったジェラートね  ソルベなの? 」

「 そるべ ってなに? 」

「 あ〜〜 シャーベットのこと。 」

「 ふうん    アイスクリンって〜〜  ムカシの日本のアイスなんだって。 」

「 そうなの 」

えっへっへ〜〜〜 二人でさ〜〜 ベンチに座って♪ アイス 食べたんだ♪

も〜〜〜〜 さっいこ〜〜〜  

カノジョさ、金色の髪が こう・・・ ぱあ〜〜っと広がって天使みたいでさ。

 

     ・・・ かっわい 〜〜〜〜〜

 

俺 隣でほれぼれ〜〜〜〜 見とれちゃったさ。

「 ・・・ 美味しいわあ〜〜 ソルベとジェラートの間みたいね 」

「 あ   う  うん    気に入った? 」

「 ええ とっても。  ありがと ジョー 」

「 えへ  なあ 今度 かき氷 たべようぜ。 」

「 かきごおり ? 」

「 あ〜〜 フラッペ ってったらわかる? 」

「 え フラッペ ?? 」

 

     カツン !

 

?? なんでかな〜〜 カノジョ、足元の舗道を蹴ったんだ。

「 あ  虫でも いた? 」

「 え?  あ ・・・ ああ なんでもないわ。  ええ 今度教えてね 

 

 (  いらぬ注 : フラッペ は バレエの基本ステップのひとつ  )

 

「 ウン♪  な〜 ショッピングとかするだろ 女子は〜〜 」

「 え ・・・ いいの? 付き合うの、退屈でしょ? 」

「 きみと一緒なら いいも〜〜ん 」

「 まあ それじゃ ・・・え〜〜と 」

「 モトマチ がいいよ。 こっちだよ〜〜 」

 

俺 ・・・ 思わず手を差し出したんだけど  ―  すっ。

カノジョ ちゃんと 手 繋いでくれた〜〜〜〜  やた〜〜〜〜〜♪

 

「 わあ ・・・ いろいろなお店があるのね 」

「 どこ いく ? 服 ?  バッグとか靴も 」

 

俺さ ちゃ〜〜んとネットで調べといたんだ、リスト・アップして

スマホに送っといたし。

 

「 え〜と ・・・ ここの通り、ず〜っと見てもいい? 」

「 もっちろ〜〜ん えっとぉ 」

ポケットからスマホ 出したんだ。

「 ? あ なにか落としたわよ ジョー。 メモかしら 

「 え?   ・・・ あ  」

俺が拾う前に カノジョってばさ・・・っと屈んで拾ってくれたぜ。

「 はい。  え ・・・ これって 

「 あ  は ・・・ 」

それは ず〜〜〜っとポケットに入れてるヤツなんだ。

 ウン。  009の機能と能力 って 博士が最初にくれたヤツ。

「 ・・・ ジョー  これ ・・・ ずいぶんボロボロ ・・・ 」

「 あ は  ず〜〜〜っともってるから ・・・ へへへ 

「 ま あ ・・・ 」

「 ちゃんと知らないと  また皆にさ〜〜 悪いじゃん? 」

「 自分自身のこと ・・・ まだよくわかっていないの? 

「 う〜ん  ごめ・・・ 勉強不足でさ・・・

 俺 あ ぼく 暗記とかめっちゃ苦手なんで〜〜 これ カンペ 」

「 かんぺ?? 」

「 あ カンニング・ペーパー ってこと  」

「 まあ ・・・ あのね、ちゃんと読みこんでおけば自動的に

 補助脳のデータ・バンクにストックされるのよ 」

「 あ〜 そうなんだ〜 」

「 そのデータは ちゃんとジョー自身のものになっているはずよ 」

「 あ 〜  うん ・・・  あ ごめん、ショッピングだよね〜

 あっちにね 有名なバッグの店とかあるよ 」

「 そうなの? 

 

 俺。 あの紙をずっと持ってるのは さ。

自分自身への誓い、ってか 決意 のシルシなんだ。

 

だって 俺。  カノジョに相応しいオトコになるんだ って決めたから。

闘いの時 ど〜〜してもカノジョを護るんだって 決めたから。

 

そのためには  ―  009 の自分自身をしっかり使えなくちゃな〜〜って

思ったんだ。

 

 カノジョ ・・・ カワイイよぉ〜〜 ちょっち気が強いけどぉ

俺 そんなとこも 好き なんだもんな。

 

    ともかく。  カノジョのための 009 なのさ♪

 

 

Last updated : 09,25,2018.          back    /    index   /   next

 

 

*************   途中ですが

こんなん 009 じゃない って?

彼は 最初から 正義のヒーロー じゃなくて

ふつ〜〜の 現代の男子こ〜こ〜せ〜 だった

んだよね ・・・ うん   続きます♪